犬と猫の
栄養学コラム
こんにちは、ペット栄養管理士のmickyです。
「イヌは雑食・ネコは肉食」と考えてご飯をあげる必要がある。
その理由を詳しく知っていくと、
イヌ・ネコ・ヒトが全く違う種類の動物であることも分かってきます。
本コラムの前に、先ずは私たちヒトとの歴史と体のつくりの違いについて考えてみましょう。
まずはこれを読んでみよう
うちのコのご飯、これで良いの?そんな悩みの第一歩はココから!
ざっくりと理解したら、次はいよいよ栄養学の視点から考えていきましょう。
全ての動物が生きていくために必要なエネルギー。それはどの栄養素から得ているのでしょうか。次のコラムを読むことで、イヌとネコが炭水化物を栄養にできるかどうかも分かってきます。
お米を栄養にできる?
食べ物からどうやって作る?イヌ・ネコ・ヒトではココが違う!
さらには、「ブドウ糖は体を動かすため、また脳にとっても重要なエネルギー源」で、このことは私たちヒトだけでなく、イヌとネコにとっても同じです。
ところが、イヌは糖質を利用できるけれど必須の栄養素とはいえず、ネコに至っては糖質の利用がとても苦手だということもわかりました。そこでイヌとネコはいったいどの栄養素からブドウ糖を得ているのだろうか、という疑問が生まれましたね。
ということで!本コラムではその疑問を解いていきましょう~。
エネルギーはどこから?
脂質やタンパク質など、糖質以外の物質からブドウ糖を作るしくみのことを糖新生と呼びます。
糖新生は、糖質の分解と比べるとかなり複雑な過程を経て行われます。脂質やタンパク質を分解してできた物質。それを原料にして幾つもの化学反応を経て、ようやくブドウ糖ができます。
この糖新生はイヌやネコだけでなく私たちヒトの体でも行われいます。そこでまずは、ヒトの糖新生についてお話ししましょう。
糖新生:ヒト
ヒトにとって糖質はくブドウ糖を得るために必須の栄養素です。もし糖質の供給がない時、空腹が続いた時にはどうなるのでしょう。
そんな時には、肝臓に貯蔵しているグリコーゲンを使います。グリコーゲンはブドウ糖をいくつか繋げた物質なので、分解してブドウ糖に戻せばエネルギーを得ることができます。そしてそのグリコーゲンも使い切ってしまった時、ヒトの体では糖新生が行われます。
ちょっと待って!脂質とタンパク質からブドウ糖をつくる話でしょう?
何も食べていないのにどうやって糖新生をやるの??
と、気がついた方、そうなのです。
空腹時なので、脂質やタンパク質なども食べていない状況です。そこで私たちの体は、自分自身の筋肉のタンパク質や中性脂肪を分解します。そしてできた物質を原料にしてくブドウ糖を作ってエネルギーにしています。
糖質制限で痩せる理由、それは糖新生が行われているためだったのです。けれども、脂肪だけでなく筋肉も分解しているわけですから、糖質制限中の食事では良質なタンパク質や脂質を適量摂取する必要があるということにも納得ですね。
また、激しい運動を行った時などにも糖新生が行われます。この場合は運動で作られた乳酸が原料です。アスリートたちが継続して力を出せるのもこのためです。乳酸といえば、腸内の乳酸菌も乳酸を作りますが、こちらの乳酸は糖新生とはまた別の役割を担っています。
ではいよいよ、イヌとネコの糖新生についてみていきましょう。
糖新生:イヌとネコ
またこれらの研究からは、ネコはグリコーゲンを作るための酵素がないことも分かりました。糖質を利用できるヒトとイヌはくブドウ糖をグリコーゲンに変えて貯蔵することができます。これはつまり、私たちヒトやイヌは食い溜めができるけれど、ネコは食い溜めが出来ないため適度に食べ続ける必要がある、ということを意味しています。
「イヌは雑食・ネコは肉食」と考えてご飯をあげる必要があるということ。
その理由は、イヌとネコではエネルギーを得るための栄養素や方法(機能)が異なるため。
そしてイヌとヒトでは似ているところもあるけれど全然違う、なんてことも理解していただけたでしょうか。
ところで、脂質やタンパク質はエネルギー源になるだけでなく、体の構成成分になる役割もあります。そこで脂質やタンパク質が体のどこにあるのか、などについてもお話ししたいと考えています。
太ってしまったら、ご飯の量を減らしてダイエット?ところがその方法、ネコにとっては生死に関わる症状を引き起こす可能性があります。
ネコの体では空腹状態が続くとブドウ糖を作るために肝臓へ脂肪が集まります。つまり急性の脂肪肝の状態で、そのまま放置していると肝不全になってしまいます。これは肝リピドーシスという疾患で、肥満ネコがなりやすく、食欲不振の場合でも注意が必要だといわれています。
欧米では3日間空腹が続くと肝リピドーシスが起きるといわれていますが、アジアのネコたちは発症までの日数にもう少し猶予があるようです。その理由は食生活の違いや遺伝子の差ではないかと言われていますが、まだはっきりとした理由はわかっていません。
ドライフードは製造過程でどうしても糖質が必要になります。一方で、ウェットフードはタンパク質や脂質が多いのが特徴です。成分表を見比べてみたり、1日のうちの一食をウェットフードに替えてみるというのも良いかもしれません。ネコのダイエットは量を減らすのではなく、成分に注目してみるのが成功の秘訣だったりもします。
それでは、また次回の栄養コラムでお会いしましょう~。
参考文献
[1]. Washizu, T.; Tanaka, A.; Sako, T.; Washizu, M.; Arai, T. Comparison of the activities of enzymes related to glycolysis and gluconeogenesis in the liver of dogs and cats. Res. Vet. Sci. 1999, 67, 205–206.
[2]. Tanaka, A.; Inoue, A.; Takeguchi, A.; Washizu, T.; Bonkobara, M.; Arai, T. Comparison of expression of glucokinase gene and activities of enzymes related to glucose metabolism in livers between dog and cat. Vet. Res. Commun. 2005, 29, 477–485.





