犬と猫の
栄養学コラム

犬は雑食・猫は肉食

– うちのコのご飯、これで良いの?そんな悩みの第一歩はココから!

執筆者 | 2023.11.09

イヌは雑食・ネコは肉食?

こんにちは、ペット栄養管理士のmickyです。

イヌとネコのご飯について、

考える女の人

イヌは肉食動物だから、ほぼお肉で大丈夫?

考える男の人

ネコにも食物繊維とか、お米とかも必要だよね?

と、尋ねられることがあります。さて、それはどうでしょうか?実はそれらは、正しくもあるしちょっと違っています。
「イヌは雑食・ネコは肉食」と考えてご飯をあげる必要があります。

その理由をまずは私たちとの暮らしの歴史や体のつくりなどからみていきましょう。

歴史:私たちヒトとの暮らし

イヌが私たちと暮らし始めたのは32,000年前くらいからといわれています。
彼らはヒトとの共同生活に順応していき、
最高のパートナーとして、また様々な仕事もこなしてくれました。

狩猟・愛玩・競技・使役など、役割に合わせてつくられた品種は現在1,000を超えます。
長い時間をヒトと一緒に暮らし、ヒトと食べ物も分けてきたことで、
肉だけでなく穀物なども食べられるようになりました。

一方、ネコと私たちの暮らしは7,000年くらい前からといわれています。
現在のネコの品種は50種ほどで、ネコの体格や見た目もイヌほどの大きな違いはありません。
それらのことから私たちとネコとの暮らしがまだ短いということが分かります。

ネコは穀類を荒らしたり、伝染病をひろめるネズミを捕まえてくれます。ヒトが農耕生活を始めると、ネズミを捕まえてくれるネコはとても大切な存在になりました。

私たちと暮らしてきた歴史が短く、ネズミを捕まえるという仕事のおかげで食べ物の変化がなかったために、ネコはイヌのように雑食化しませんでした。

体のつくり:消化器の違い

草食動物は腸が長く、盲腸が発達していることは有名ですね。
消化しにくい食べ物を時間をかけて消化するために腸は長くなり、
発達した盲腸には植物由来のセルロースを分解できる腸内細菌が住んでいます。

まず盲腸について、ネコの盲腸は未発達で退化しているといえるほどの大きさや形です。
一方、イヌの盲腸はネコと比べると、重さや密度も機能するために十分なことが分かっています。

さて次に、腸の長さを表にまとめました。
動物たちの大きさが違うので、腸の長さが体長の何倍になるかという比で比較しています。

草食動物のヒツジやウシと比べるとイヌもネコも腸は短めです。
が、イヌとネコで比較するとイヌの方がネコより1.5倍腸が長いことがわかります。

動物の腸の長さの表 - よし!ゴハンにしよう。

※ 体長には差があるので、それぞれ動物の体長と比べて腸は何倍になるか比較しています

イヌの腸はネコより少し長く、繊維を分解する腸内細菌が住む盲腸も十分に発達している。
これらのことから、ネコと比べるとイヌの方が消化しにくい食べ物を栄養にできることがわかります。

ちょっと待って!雑食の私たちヒトの腸もイヌやネコと同じくらいじゃない?!

と、気がついた方、そうなのです。

「イヌは雑食・ネコは肉食」このことを理解するためには、
食べ物を分解し、体内で栄養を合成するための仕組みを知る必要があります。

イヌ・ネコ・ヒト、その他の全ての動物にとって生きるために必要なエネルギー。先ずは、その エネルギーの源となる栄養素と、それらを食べ物から作る仕組みについて考えてみましょう。詳 しくはこちらのコラムへどうぞ!

エネルギーの源となる栄養素について考える
イヌは雑食・ネコは肉食 栄養学の視点から考えてみよう - よし!ゴハンにしよう。

「動物が生きるために必要なエネルギー:ブドウ糖」
食べ物からどうやって作る?イヌ・ネコ・ヒトではココが違う!

子供と犬と猫の写真 - よし!ゴハンにしよう。
余談ですが、マウスの研究で盲腸が腸内細菌のバランスに関わっていること、 盲腸にあるリンパ組織で免疫細胞が作られているということがわかりました[1]
ヒトの盲腸は退化して不要といわれていましたが、マウスと同じように何らかの働きを持っているのかもしれません。
そしてもしかするとネコの盲腸にも何か役割があるかもしれませんね。
まだまだ生物の体には謎がいっぱいです。

イヌにお肉ばかりはバランスが悪そう、ネコに野菜たっぷりは良くないかも、 ということをなんとなく分かっていただけたなら嬉しいです。

では、また次回の栄養コラムでお会いしましょう~。


参考文献
[1]. Masahata K, et al:Generation of colonic IgA-secreting cells in the caecal patch. Nat Commun, 5:3704, 2014

著者
著者 - micky

日本ペット栄養学会認定 ペット栄養管理士(第221039号)

micky

私は大学・大学院を通して分子生物学を専攻し、病院付属の研究所などで8年ほど研究のサポートをしてきました。現在は3頭のイヌたちと暮らしています。

日本ペット栄養学会では、獣医師や専門家などによる最新の研究報告や症例の報告が行われています。

イヌとネコの基本的な栄養のことはもちろん、病気の時の栄養管理、そして学会からの最新情報を科学的な視点から分かりやすくお届けします。